RMTの歴史

最近の問題のように語られることの多いRMTですが、実は案外歴史は古く、ネットゲーム黎明期から行われていました。1990年代後期『 ウルティマオンライン』『ディアブロ』など、MORPG,MMORPGのサービスが本格的に運営されるようになったことにたんを発して、ゲーム内の疑似経済システムが成立していくにつれ、次第にRMT行為が行われるようになっていきます。

 

そして2004年4月には、法人運営RMTポータルアイテムバンク公式HPが設立され、ガンホー・オンライン・エンターテイメントとアイテムバンクが、大株主などのその資本的な流れからテクノブラット社を介した関係があるのではないかと言う疑惑を持たれ、『ラグナロクオンライン』プレイヤーの間で大騒動に発展します。この1件によってRMTという行為は一般に広く知られることとなったと言われています。そして、MMORPGを運営するスクウェア・エニックスとコーエーから相次いでRMTの禁止と厳罰を強調する声明が出されます。また、2005年初頭にかけて、スマトラ島沖地震の被災者救済のため、『ウルティマオンライン』というゲーム上でゲーム内通貨(GP)による募金が有志により行われ、集められた募金はRMTを介し3000ドルが赤十字に寄付されるということ起こります。この募金は日本ユーザーにも呼びかけられていました。この行為は賛同者が多かった一方で、あえてゲーム内の金銭で募金を求める行為に対して批判も多く、賛否両論を巻き起こしました。そして、2006年始めから大手RMT業者のジーエムエクスチェンジ社社長宇田川慎之介を中心とするRMT業者のメディアへの露出が増加して、ゲーム専門以外のPCマスコミや経済マスコミなどでもRMTに関する話題が取り扱われる機会が増えています。そしてついに、宇田川を中心とした大手RMT業者は業者団体として「RMT倫理協会」を結成したのです。しかし、この団体については実態がつかめないところもあると言われており、実際にはギャンブル性を少なからずはらんでおり、RMTによる換金行為を、パチンコの景品換金システムのように政府や業界に事実上公認させるための利権団体ではないか、という見方もあります。

 

そして、2005年には週刊アスキー連載、水口幸広『カオスだもんね!』第528回「RMTの虎」事件とよばれる事件が発生します。この事件は、週間アスキーの1つのコーナーでRMT業者への取材によってのみ構成されている記事が載り、この記事はゲーム管理者側の立場や主張、RMTが多くのゲームで規約違反行為とされている事に関しての言及がほとんど見られず、解釈によってはRMT行為を推奨しているとも取れる内容になっていたことから、ゲーム開発者側に多大な被害をもたらしました。この記事によって最たる被害を受けたエヌ・シー・ジャパンはアスキーとカオスに対して遺憾の意を表する文書を本編中に名指しで挙げられたリネージュIIの公式サイトで公開しました。この事件でアスキーはゲーム管理会社の他、リネージュIIのプレイヤーはもとより他のゲームでRMT行為による混乱に遭遇してRMTを批判する立場を取っているオンラインゲームプレイヤーたちからも厳しい批判を受け編集長宮野友彦の名義で謝罪文を掲載し、RMTに関する諸問題を真剣に考える企画記事を3回に渡り掲載しました。

 

また、同じ年の2005年には、4gamerの企画としてRMT業者代表として宇田川、管理会社代表として元KESPI代表・現ハイファイブ社長の澤紫臣の対談が掲載されて、この時のRMT業者側の苦しい言い訳が話題となりました。この後すぐに、『ラグナロクオンライン』でRMTプレイヤーの放ったと思われる大量のBOTプログラムの横行が著しさを増してきて、ゲーム内での一般プレイヤーの行動に著しい支障が生じてしまいます。そしてこれを受けた、管理会社側の不誠実な対応もこれに追い打ちを掛けて、ゲーム内での大規模な抗議行動に発展してしまいます。

 

2006年、RMT行為をはじめとするトラブル・不正行為や、BOTプログラムの大量接続などによる接続障害などの問題が急増していることを受け、経済産業省が大手オンラインゲーム会社へ本格的な実態調査に乗り出したことが新聞などで報道されます。そして、『ラグナロクオンライン』にて、ゲーム内の管理者であるゲームマスターの立場にあった男性社員がゲームを管理する装置に不正アクセスを行って、仮想通貨を作り出してRMT業者に転売、3000万円にも上る売却益を得ていたとして不正アクセス禁止法違反容疑で逮捕されました。これは管理会社内部で発生した犯行であり、容疑者は同日に懲戒解雇されました。しかし、それでもRMT行為そのものを規制する法律は存在しないため、これはあくまでも上司のパスワードを盗んで不正アクセスした行為を理由とした逮捕となり、2006年10月24日 東京地裁にて当事件の被告に懲役1年執行猶予4 年の有罪判決が下りました。この時、通常ならば執行猶予は懲役期間の倍程度が標準的な目安とされているため、執行猶予とはいえ、単純に問われた不正アクセスの容疑から鑑みれば厳しい判決内容といえるのではないでしょうか、また、この裁判の過程で被告がこの不正により得た利益が、総額で約5000万円にも達する事が明らかとなった。このような大規模なマネーを生み出すRMT業界に人が集まらないわけがなく、しかも取り締まる法律が存在しないため、今後も問題は加速していくと予想されます。

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Last update:2016/8/31